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09月18日-05号

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  1. 東広島市議会 2020-09-18
    09月18日-05号


    取得元: 東広島市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-09-12
    令和 2年第3回 9月定例会(第5日目)1. 日時  令和2年9月18日2. 場所  東広島市議会議場3. 出席議員(29名)  1番 鈴 木 英 士   2番 片 山 貴 志   3番 坂 元 百合子  4番 牛 尾 容 子   5番 景 山   浩   6番 田 坂 武 文  7番 岩 崎 和 仁   8番 中 川   修   9番 貞 岩   敬  10番 岡 田 育 三   11番 坪 井 浩 一   12番 大 道 博 夫  13番 玉 川 雅 彦   14番 北 林 光 昭   15番 加 藤 祥 一  16番 重 森 佳代子   17番 奥 谷   求   19番 重 光 秋 治  20番 加 根 佳 基   21番 宮 川 誠 子   22番 谷   晴 美  23番 乗 越 耕 司   24番 竹 川 秀 明   25番 池 田 隆 興  26番 山 下   守   27番 鈴 木 利 宏   28番 牧 尾 良 二  29番 石 原 賢 治   30番 上 田   廣4. 欠席議員(なし)5. 本会議の書記  事務局長    脇 本 英 治      局次長     貞 岩   諭  議事調査係長  松 井 章 拓6. 説明のため出席した者  市長      高 垣 廣 徳      副市長     松 尾 祐 介  副市長     多 田   稔      教育長     津 森   毅  総務部長    天神山 勝 浩      政策企画部長  木 原 岳 浩  財務部長    江 口 和 浩      健康福祉部長  梶 永 里 美  産業部長    鈴 木 嘉一郎      建設部長    中 谷 浩 美  学校教育部長  國 廣 政 和      生涯学習部長  大 畠   隆  災害復旧担当理事阪 垣 多喜豪      総務部次長総務課長                               福 光 直 美  財務部次長財政課長          中 村 光 利7. 会議事件日程第1        会議録署名議員指名日程第2        一般質問 ───────────────────── * ───────────────────                             午前10時00分 開  議 ○議長(乗越耕司君) 皆さん、おはようございます。 ただいまの出席議員は19名であります。定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、あらかじめお手元に配付したとおりであります。 ───────────────────── * ─────────────────── ○議長(乗越耕司君) それでは、これより日程に入ります。 日程第1、会議録署名議員の指名を行います。 会議録署名議員は、議長において、22番谷 晴美議員、24番竹川秀明議員、25番池田隆興議員を指名いたします。 ───────────────────── * ─────────────────── ○議長(乗越耕司君) 日程第2、一般質問を行います。 ここで、念のため申し上げておきます。一般質問は一問一答方式、一括質問方式の選択制になっており、発言時間については新型コロナウイルス感染予防の観点から通常より時間を短縮し、20分以内となっております。 なお、初回の質問は演壇で行い、2回目以降の質問からは質問席で行ってください。 それでは、一般質問の通告がありますので、6番田坂武文議員の一問一答方式による一般質問を許します。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) (登 壇) 皆さん、おはようございます。令和会の田坂武文でございます。議長から、発言の許可をいただきましたので、早速質問に入らせていただきます。今日は、東広島市の将来のため、今何を優先していかなければならないのかというテーマで、令和会が取り組んでおります公共施設等総合管理計画のうち、2つの個別施設計画について質問したいと思います。 初めに舗装維持修繕計画について伺います。 前回、6月の第2回定例会でも少し触れましたが、この計画は舗装の長寿命化維持管理コストを縮減するとともに、事業費を平準化することを目的として計画を策定したと記載されていますが、そもそもこの計画は予防保全、壊れる前に直す計画も入っているのでしょうか。事後保全、壊れたから直す計画ばかりではないのでしょうか。 次に、計画の策定費用についてお伺いいたします。 この計画の策定にあたっては、平成25年度に東広島市が管理する道路2,200キロのうち、主要な道路184路線、368キロについて点検を実施し、その診断結果を基に平成30年3月に舗装維持修繕計画として策定されています。この計画を策定するために、幾らの費用を要したのでしょうか。また、前回の定例会の質問には策定後、2年しか経過していないこの計画を今年度見直すと答弁がありましたが、見直しに幾ら費用がかかるのでしょうか。 次に、進捗が遅れている原因についてお伺いいたします。 前回の一般質問には、舗装維持修繕計画は対策が必要な幹線道路を22路線・総延長61.6キロとし、実施期間を5年間として策定した。今年度、令和2年度末までの進捗見込みについて、5路線・2.2キロメートル、総延長に対する実施率は3.6%であるとの答弁がありました。その後の建設委員会等の質問には、対策が必要な路線のうち、損傷の大きい部分の18.4キロを補修する計画で、5年間の総事業費が9億8,000万円であり、今年度末までの実施予定の事業費は1億5,600万円であるとの答弁がありました。 5年間で18.4キロを補修するという説明からすれば、3.6%の実施率は誤りで、延長に対する実施率は12%、事業費に対する実施率は15.9%になると思いますが、いかがでしょうか。 つまり、舗装維持修繕計画の事業費は年間約2億円の計画であったが、平成30年度予算はその80%程度しか措置されておらず、令和元年度、令和2年度は災害復旧優先による進度調整により、全く措置されていない。そのために進捗が遅れているということになるのではないでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に、コスト縮減についてお伺いいたします。 前回の一般質問には、今年度、舗装維持修繕計画の見直しを行い、令和3年度以降におきましては、コスト縮減をさらに意識し、優先すべき路線を選択し、実施していきたいと考えおりますとの答弁がありました。 私が調べたところ、舗装維持修繕で使用する原材料のアスファルト合材など、ライフサイクルコストが大幅に縮減できる新製品が開発されています。しかしながら、高性能のこれらの製品は従来の製品に比べて高価になっています。つまり、ライフサイクルコストを縮減しようとすると、単年度での工事費は割高になると考えられますが、いかがでしょうか。 私の勉強不足でしょうか、予算の減額に見合う単年度の工事費の削減と、ライフサイクルコストの縮減を両立する方法があるのでしょうか、御所見をお伺いいたします。 また、調査を行ってから7年が経過することとなり、舗装の劣化が進行して補修工法が変更になり、当初計画より工事費が割高になる路線があると予想されます。計画どおり対策が実施されず、計画から遅れれば遅れるほど工事費は割高になります。進捗が遅れているこの計画について、今年度は補正予算で対応し、来年度以降、予算を拡充する必要があると思います。御所見をお伺いたします。 次に、個別計画の2つ目、橋梁長寿命化修繕計画についてお伺いいたします。 この計画については、平成19年度から点検を始め、平成23年3月に計画を策定され、対策を実施されてきました。この計画は昨年度まで計画どおり進捗していたのでしょうか。その後、平成25年には道路法が改正され、これに基づき平成26年には国が定める統一的な基準により、5年に一度、近接目視による全数監視を実施し、統一的な尺度で健全度の判定区分を設定し、診断を実施することが義務づけられました。 本市も国が定めた点検要領に基づき、定期点検、診断を行い、東広島市橋梁個別施設計画として、令和2年3月に前計画の見直しを行われています。全ての橋梁で近接目視による調査を実施したとなると、相当な費用が必要だったのではないかと考えます。5年間に行った橋梁の点検、診断に要した費用は1橋当たり幾らで、総額は幾らだったのでしょうか。また、これらを取りまとめ、優先順位づけし、橋梁の個別施設計画として策定された費用は幾らなのでしょうか。 次に、議会への説明について伺います。 平成30年度決算特別委員会橋梁長寿命化計画策定業務が、令和元年度に繰越しになったとの説明がありました。以降、建設委員会に内容の説明がないため、7月14日の建設委員会でなぜ説明されないのかと質問をしたところ、令和2年3月に完了しており、5月にホームページに掲載している。行革の取組として9月議会において、実施計画及び進捗状況を報告するとの答弁がありました。9月8日の建設委員会で、第6次行政改革実施計画、令和元年度進捗状況として239橋の点検や、1橋の補修を実施したとの報告がありましたが、橋梁の長寿命化計画の内容の説明はありませんでした。 ホームページで確認したところ、東広島市橋梁個別施設計画として概要が掲載されていました。令和2年から令和6年までの5年間に、全橋梁1,423橋の定期点検を行い、161橋の補修対策を毎年度5億5,000万円、総額27億5,000万円かけて行うことと掲載されていました。なぜこのように多額の予算を必要とする計画が、議会に説明されることなくホームページに掲載されるのでしょうか。御所見をお伺いいたします。 次に、対策の優先順位についてお伺いいたします。 橋梁の健全度の評価として、道路橋の機能に支障が生じる可能性があり、早急に措置を講ずべき状態と評価された健全度Ⅲの橋梁が131橋あるとされています。そのうち、5年間に対策を行うとされている橋梁数は72橋で59橋は対策を行わず、道路橋の機能に支障が生じていないが、予防保全の観点から措置を講ずることが望ましい状態と評価された健全度Ⅱの橋梁89橋の対策を行うとされています。健全度Ⅲの橋梁については、遅くとも5年以内に措置を講ずる必要があると思いますが御所見をお伺いいたします。 次に、対策の事業量と対策費用についてお伺いいたします。 この計画では、初年度の令和2年度の補修対策は、定期点検と23橋の調査設計を行うこととして、5億5,000万円の対策費用を見込まれています。最終年度の令和6年度の補修対策は、定期点検と31橋の調査設計、31橋の補修等の工事を行うとして、初年度と同じ5億5,000万円の対策費用を見込まれています。 今年度予算では、定期点検が1億3,400万円、補修設計が3,500万円、計1億6,900万円とされています。どのように積算すれば、このような金額になるでしょうか。これら金額は整合しているのでしょうか。 最後に補正予算についてお伺いいたします。 橋梁の長寿命化について、当初予算では定期点検費用補修設計費用のみ計上されており、今回の補正予算案工事請負費を約2億5,000万円補正し、橋梁長期保全事業の予算を約4億2,000万円に増額しようとされています。平成31年度の事務事業シートでは対策が必要とされた橋梁のうち、対策が完了していない橋梁10橋の修繕を、平成32年度までに完了するとされており、平成32年度、令和2年度には約8億6,000万円の事業費で9橋の修繕を行うと記載されています。なぜ、当初予算に工事請負費が計上されていないのでしょうか。また、2億5,000万円の補正額は旧計画、新計画の事業費に比べて妥当なのでしょうか、御所見をお伺いいたします。 以上で、初回の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。 ○議長(乗越耕司君) 答弁を求めます。 ◎建設部長中谷浩美君) 議長、建設部長。 ○議長(乗越耕司君) 中谷建設部長。 ◎建設部長中谷浩美君) (登 壇) 田坂議員の御質問に対しまして、私から御答弁を申し上げます。 まず、舗装維持修繕計画についてでございますが、この計画は予防保全により長寿命化と事業費の平準化を図るとともに総事業費を縮減することを目的に策定したものでございますが、健全性の診断が修繕段階にある路線の延長が約25%あり、これらの路線を事後保全として優先的に補修しようとする内容でございます。 次に、この計画に要した費用についてでございますが、平成25年度に実施をいたしました路面性状調査費は525万円、平成29年度に実施いたしました計画策定費は176万4,000円でございます。 また、今年度の見直しに係る費用についてでございますが、現計画を基本に実施スケジュールの見直しと工法の検討を行う予定しておりますので、見直しに係る費用は見込んでいないものでございます。 次に、進捗率についてでございます。舗装維持修繕計画に記載しております措置が必要な路線の総延長は、61.6キロメートルでございますが、このうち実施延長は2.2キロメートルでございますので、総延長に対する実施率は3.6%でございます。対策が必要な路線のうち、損傷の大きい区間の18.4キロメートルにつきましては、事後保全的対応として5年間で補修しようとする区間でございます。したがいまして、予防保全として対策が必要な路線延長は61.6キロメートルでございますので、実施率は総延長に対して算出しております。 進捗が遅れている原因についてでございますが、平成30年度当初予算における幹線道路舗装事業費は1億2,300万円余でございましたが、これは計画期間5年間の配分として、初年度に予算化したものでございます。令和元年度及び令和2年度におきましては、平成30年7月に豪雨災害が発生し、被災状況復旧状況を踏まえ、進度調整を行ったものでございます。 次に、コスト縮減についてでございます。 新技術による施工で、工事費が割高になる場合もあるとは考えてはおりますが、工事費を含めたトータルコストの縮減が長寿命化計画の大きな目標でございます。したがいまして、補修を行う予防保全の時期と打替えを行う事後保全の時期を調整することで、コスト縮減は可能であると考えております。 次に、今年度の補正予算についてでございますが、現在、予算の執行に鋭意努めているところでございます。来年度以降につきましては、災害復旧進捗状況を踏まえ、計画が実施できるように努めてまいりたいと考えております。 次に、橋梁長寿命化修繕計画について、御答弁申し上げます。 まず、計画どおり進捗してきたのかについてでございますが、平成22年度に策定いたしました当初の計画は、平成23年度から平成34年度までを計画期間とし、3年間で12億6,000万円、4年目以降2億5,000万円を措置し、予防保全によるコスト縮減と費用の平準化を図る計画でございました。 早期に措置が必要な橋梁のうち、橋長10メートル以上の橋梁58橋の補修を目標にしておりましたが、令和元年度までに49橋、補修費用10億5,200万円を措置し完了しております。したがいまして、当初の長寿命化計画を見込んである目標には及んでいない状況でございます。 次に、新計画策定にかかった費用についてでございます。道路法改正後の5年間の1,423橋の橋梁点検費用は、総額3億6,822万4,000円であり、1橋当たり平均して25万9,000円でございます。また、長寿命化計画策定費は1,226万8,000円でございます。 次に、計画の説明についてでございますが、個別の計画の内容につきましては委員会において御報告はしておりませんが、今後につきましては別途、適切な時期に御報告させていただきたいと思っております。 次に、計画内に対策をとらなくてよいかについてでございますが、健全度Ⅲと診断された橋梁は、基本的には点検後5年以内に予防保全措置を行うべきと考えておりますが、新計画におきましては重要度が低い橋梁は、事後保全で措置することとしております。また、健全度Ⅱの橋梁にいたしましても、優先順位が高いものにつきましては、予防保全を行う計画としております。 次に、対策費用の平準化についてでございますが、令和2年度の補修が当初は困難でございましたことから、補修年度を令和3年度にスライドしたため、計画における橋梁数に不整合が出ているように見えるものでございますが、年度対策費は平準化の指標となる金額を示しているものでございまして、目安として掲載をしているものでございます。したがいまして、今年度の当初予算額とは、整合はしていないということでございます。 次に、当初予算に工事費を計上していない理由についてでございますが、災害の早期復旧に向け、全庁的に進度調整を行った結果でございます。 補正予算についてでございます。今回の9月補正で2億5,000万円余りの工事請負費の増額をお願いをしております。建設委員会で御審議いただいたとおり、適切で妥当であるというふうに判断しております。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) 全体的に、非常に簡潔な答弁で、少し分かりにくい部分もあったように感じました。私の考えと異なる部分もありますので、何点か再質問させていただきます。 初めに、舗装維持修繕計画についてですが、先ほどの答弁から今年度計画の見直しを財政化し、職員が直営で行われるその見直し方針は現計画を基本に実施スケジュールと新技術など、工法の検討を行い、トータルコストの縮減を目指すものと理解いたしました。 委託費などの見直し費用が不要で、職員の技術レベルの向上も期待できるすばらしい取組だと思います。計画の見直しが完了しましたら、ぜひ委員会等にも説明していただき、しっかり予算措置をして3年間の計画の遅れを早期に取り戻し、予防保全に取り組んでいただきたいと思います。 次に、橋梁の長寿命化修繕計画についてお伺いいたします。 初めに、前計画が計画どおり進捗してきたのかについてですが、当初の長寿命化計画で見込んでいる目標には及んでいない状況でございますとの答弁でしたが、計画どおりに進捗していない要因の一つは、人員体制に課題があるのではないでしょうか。 担当の維持課は、市民から迅速な対応が求められる維持管理を主に行っており、橋梁の長寿命化に加え、歩道の新設なども行っており、市民の多様なニーズに答えなければならないなど、業務量も多いと思います。各施設の長寿命化対策には技術職員が必要であると思いますが、本市では技術職員が少ないように感じています。今後、各施設の長寿命化計画を進めるためには、各所属へ技術職員が適正に配置され、人員体制を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 ◎総務部長天神山勝浩君) 議長、総務部長。 ○議長(乗越耕司君) 天神山総務部長。 ◎総務部長天神山勝浩君) 長寿命化対策にあたっては、技術職員の適切な配置が必要ではないのかということで御質問をいただきました。御指摘のとおり施設の長寿命化対策には、技術職員が必要でございます。一方で、現在は全庁的に災害復旧、復興のための業務に注力してまいる必要がございます。今後の、技術職員の配置につきましては、施設の長寿命化の重要性も鑑みながら、全庁的な配置のバランスを考慮いたしまして、引き続き検討を行ってまいります。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) ちょっと具体的な話になるんですけど、昨年度維持課には何人職員が配置され、そのうちの技師が何人で、これまで橋梁の長寿命化に取り組んだ経験があり、専門的な知識を有する職員が何人配置されているのでしょうか。
    建設部長中谷浩美君) 議長、建設部長。 ○議長(乗越耕司君) 中谷建設部長。 ◎建設部長中谷浩美君) 維持課の職員配置でございますが、維持分室等を含めた全体の職員数につきましては、昨年度から今年度については若干、減っておりますが、現在のところ35名が維持課所属の職員としております。そのうち、管理職が7名で、係員等が28名、そのうち技師が20名という状況になっております。 それから、さらに再任用職員を7名、道路嘱託職員を6名配置させていただいているところでございます。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) 遅れている要因の2つ目は、予算措置だと思います。 平成23年度からの3年間で12億6,000万円、4年目以降、2億5,000万円を措置する計画であった補修費が、平成23年度からの9年間で10億5,000万円余りしか措置されていません。一般的に事後保全で管理されてきた施設は、そのつけで計画の当初に予算を集中的に投資しないと、予防保全の計画になっていきません。 これまで、本市の財政状況はよいと執行部は説明されてきましたが、せっかく多額の調査費をかけて計画をつくって、なぜこのように予算が措置されてこなかったのでしょうか。 ◎財務部長江口和浩君) 議長、財務部長。 ○議長(乗越耕司君) 江口財務部長。 ◎財務部長江口和浩君) 予算措置につきましては、限られた財源の中で、最新の市民ニーズ優先順位を見極めながら調整を行います。各年度の予算編成におきまして、この間の例えば中央生涯学習センターの老朽化に伴います生涯学習機能の維持のための市民ホール建設事業、また現龍王小学校の建設と他の大型の普通建設事業との調整により全体調整の上で、予算措置が行われてきたものでございます。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) 次に、計画の議会への説明についてですが、今後は別途適切な時期に報告するとの答弁でした。執行部と議会が切磋琢磨して、よりよい計画になればと考えておりますので、今後の説明に期待をしております。 次に、対策の優先順位についてですが、新計画におきましては重要度が低い橋梁は、事後保全で措置することとしておりますとの答弁でしたが、事後保全とは一般的には壊れるまで補修を行わず、壊れてから直すまたは廃棄するという意味だと思いますが、橋梁を事後保全で措置するとは具体的には、どのような措置を行うのでしょうか。 ◎建設部長中谷浩美君) 議長、建設部長。 ○議長(乗越耕司君) 中谷建設部長。 ◎建設部長中谷浩美君) 事後保全の具体的な措置でございますが、橋梁が短い、または交通量が少ない、そういったいわゆる重要度としては低い橋梁につきましては、事後保全として行うということにしております。これらにつきましては、架け替え、そして主要部材の更新など、大規模修繕、これらを前提とした上で、架け替えや大規模修繕が必要となるまで、維持補修はしていくということとしております。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) 今年の代表質問では、公共施設の適正配置には全庁的な取組体制を構築しており、この内部組織において総合管理計画の進捗の評価等を集約するとともに、長寿命化を主眼とする個別施設計画を含め、部局横断的に計画の見直しを進めてまいりますと答弁されています。橋梁長寿命化を含めた各個別施設計画の方針や計画の変更は、この組織において検討され出された結論なのでしょうか。 ◎財務部長江口和浩君) 議長、財務部長。 ○議長(乗越耕司君) 江口財務部長。 ◎財務部長江口和浩君) 個別施設計画に関しまして、その取りまとめあるいは総合計画に掲げます目標との整合性などにつきましては、御指摘の部局横断的な内部組織の場で行っておりますが、各個別施設計画の策定、進捗管理、方針の変更等につきましては、現場に精通をしておりますそれぞれ施設を所管する所属が主体となって取り組んでいるところでございます。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) 全国的に限られた財源の中で、5年間の点検期間にどのようにして対策をとるかが課題となっています。このような状況の中で、先進的な自治体では積極的に内政化、直営施工を始められています。1橋当たり25万9,000円かかるとの答弁のあった橋梁点検、構造が簡単で小規模な橋梁だと思いますが、島根県では全19市町村が直営点検を導入されています。本市の点検も二巡目に入りますので、前の点検の成果を活用すれば簡単な構造の橋梁については、可能だと思います。職員の技術レベルも上がり、一石二鳥だと思います。 また、同じ島根県では、簡素化した図面を直営で作成し、これにより補修工事を概算発注で行われ、補修設計費を削減されています。これも本市で可能なのではないかと思います。また、熊本県玉名市では、橋梁が短い鉄筋コンクリートの橋を、橋梁補修DIY、職員が直営施工で補修を実施されています。その結果、2016年度と17年度の2か年で14億3,000万円のコストを削減され、国土交通省の2019年度のインフラメンテナンス対象の優秀賞に輝かれています。 本市とは条件が異なっている部分もあると思いますが、これらの取組を検討されてはいかがでしょうか。 ◎建設部長中谷浩美君) 議長、建設部長。 ○議長(乗越耕司君) 中谷建設部長。 ◎建設部長中谷浩美君) 職員直営での点検保守、今議員から御提示いただきました他市の事例等については承知をしております。本市においては何ができるのか、本市の課題は何なのか。これについて、調査をしてまいりたいと、研究をしてまいりたいというふうに考えております。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。残り時間2分です。 ◆6番(田坂武文君) 橋梁の長寿命化修繕計画は、東広島市が管理する全橋梁1,423橋の長寿命化修繕計画であり、約3億7,000万円もの費用をかけて、全橋梁を点検し、その成果を基に1,200万円の費用をかけて1橋ごとに整備優先順位をつけ、概算工事費用を算出し、予算の平準化を図り、5年間の実施計画として策定されたもののはずです。 公共施設等総合管理計画を主管して予算の査定を行う財務部を含めた全庁的な取組体制の中で、様々な検討を行われてできた実施計画ではないんですか。当初から、計画どおり予算措置し、毎年度執行管理を行い、着実に実施すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 ◎市長(高垣廣徳君) 議長、市長。 ○議長(乗越耕司君) 高垣市長。 ◎市長(高垣廣徳君) 田坂議員から、これまでアセットマネジメントについて様々な視点から御意見をいただいているところあります。 今日の御質問の中にも、公共土木施設、橋梁あるいは舗装のマネジメントをどう図っていくのか、計画的にやるべきではないかというような御質問でありました。 公共土木施設が先行してアセットマネジメントに入ってきたというのは、これは事実だと思います。これから我々は市の他の資産、例えば学校施設あるいは保育施設、あるいは住民自治協議会が使われるセンターであるとか、そういうもののアセットをどういうふうに管理していくかということも、これ大変重要な課題になってきています。そういう意味から今年度、それぞれの個別における計画をつくってもらい、それを総合的に調整する必要が出てきてまいります。 これまで、必ずしも財政制約を与えながら、その中でどういうふうにアセットマネジメントが展開できるかという議論は必ずしも十分ではなかったと。今後、これらの個別計画が集約されて、その中でそれぞれのプライオリティーを考えながら、長期的な財政制約の中でどのようにアセットマネジメントを展開していくのかということをしっかり考えていく必要があるというふうに思っています。 その中で、我々が注意していく必要があるのは、その資産、アセットいわゆる資産でありますけども、我々が持っている資産が果たして本当にニーズとして今なお残っているのか、言うならば資産圧縮をどうしていくかということも、しっかり考えていく必要があります。 そして、これから管理していくべき資産については、それが適切に長寿命化として管理できるような形の計画的管理が必要になってくる。さらにコスト縮減という意味からすると、御指摘のとおり新しい技術を適用しながら、新技術の中でコスト縮減をしていくということも、これ大変重要な課題になってきます。そのようなことを、今年度中に総合計画として整備をしていきたいということで、現在動いているところです。 その展開にあたっては、御指摘のように技術職員をどういうふうに配置するかということも、これまた大きな課題になってきます。それぞれの部門においてそういう職員を配置するのか、あるいは国がやっているような環境営繕、あるいは県もやっているような営繕部門、そういうところの集約の中で、全体最適を図っていくというやり方もこれあります。 そういう意味からそのような視点も含めて、今年度中に我が市におけるアセットマネジメントの長期計画について、しっかり検討していくということで、今後の対応を図っていきたいというふうに考えているところです。 ◆6番(田坂武文君) 議長、6番。 ○議長(乗越耕司君) 6番田坂武文議員。 ◆6番(田坂武文君) 丁寧な答弁をありがとうございます。私の思いと全く一緒でございます。 時間もありませんので、最後にいたしますが、今日取り上げた二つの個別施設計画は、本市のこれからの計画の中で、もっとも進んでいる計画です。これまで、策定が進んでいなかった学校など個別施設計画も、先ほど言われましたようにおおむね今年度中に計画を進められると伺っております。 昨日の一般質問でも公共施設等総合管理計画に関する質問がありました。市民に協力をいただかなければいけない公共施設の適正配置の目標を達成するためには、全ての施設で個別施設計画を策定し、今後の財政事業の見通しを市民に丁寧に説明する必要があると思います。各個別施設計画が、よりよいものになることを祈念いたしまして、質問を終わります。 ○議長(乗越耕司君) これをもって、6番田坂武文議員一般質問を終わります。 暫時休憩いたします。                             午前10時38分 休  憩 ───────────────────── * ───────────────────                             午前10時54分 再  開 ○議長(乗越耕司君) 再開いたします。 引き続き、一般質問を行います。 21番宮川誠子議員の一問一答方式による一般質問を許します。 ◆21番(宮川誠子君) 議長、21番。 ○議長(乗越耕司君) 21番宮川誠子議員。 ◆21番(宮川誠子君) (登 壇) 皆さん、おはようございます。一般質問も今日で最終日ということになりました。私を含めてあと残り2名でございます。今しばらくのお付き合いをよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。 それでは、時間がありませんので、早速ではございますが、質問に入りたいと思います。 今回は、競争を是認する社会の価値観を問い直すと題しまして、小林正観さんの言葉を紹介しながら、「人と争って努力し、人より上に立つことが幸せへの道である」と信じ、学校でも社会でもそう教えてきた価値観が、本当に正しいのかを考えてみたいと思います。 小林正観さんは、9年前に既にお亡くなりになっておられますが、人様からこわれて年間300回くらい講演をして日本中を飛び回っておられた方で、多くの講演音声をネット上で聞くことができますし、書籍も数多く出版されています。正観さんの本業は、旅行作家で旅に関する原稿を書くことをなりわいにされていた方ですが、不思議な宇宙法則を見つけては実証するということをしているうちに、頼まれて講演して回るようになったという方であります。 まず、2つの逸話を皆さんに御紹介させていただきたいと思います。 これは、今回一般質問を行う動機となったもので、正観さんの娘さんの話であります。結婚して、3年間子どもができず、やっと生まれた子は障害を持っていたそうであります。知力は人の半分、筋力は人の3分の1くらいしかない、知的障害の女の子が正観さんの長女の慶子ちゃんであります。 その慶子ちゃんが小学校4年生の頃、雨が降るたびに友達の傘に入れてもらって家まで送られていたということで、その友達が毎回別の女の子であることに気づき、先生に尋ねたそうであります。すると、実は慶子ちゃんは午後から雨が降るという状況が認知できず、傘を持っていくことができないということで、そんなときにはしばらく空を見上げて三、四分後に意を決したように下を向いて雨の中を歩きだし、15分くらいの距離をずぶ濡れになって帰っていたということで、毎回その様子を見ていたクラスの女の子たち10人くらいが、「慶子ちゃんを送っていく会」を結成し、雨の日には順番に慶子ちゃんを送っていたということであります。 しかもそれは先生か誰かに相談したものではなく、子どもたちが自分たちで考えてやっていたということで、先生も知らなかったということでありました。正観さんの奥さんによりますと、慶子のいるクラスの子は優しいということで、他のクラスではシャーペンでついたとかのいざこざが普通に起きているけれど、慶子のいるクラスはそんなことがないということでありました。 そして、優しさという言葉の根源的な意味を学校で教えてくれたら、いじめの問題は劇的に解消するのではないかと正観さんは言われています。優しさとは、「目上の人間、立場の強い人間が自分より立場の弱い人間に、自らの力、権力を行使しないこと」だと言われています。優しさとは、単に優しい言葉をかけるとか、柔らかい言葉を使うということではないし、まして目上の人に何かしてあげるということでもない。上司と部下、親と子ども、教師と先生というふうに、強い立場の人間が、弱い立場のものに対して、自分が持っている力を使わない、誇示しない、行使しないことだということを、子どもたちに教えたら、子どもたちは少なくとも弱い者いじめだけはしなくなるであろうと、小林正観さんは言われています。 2つ目の逸話を紹介したいと思います。慶子ちゃんが、小学校6年生のときの話であります。 その日は、運動会の日で朝奥さんと慶子ちゃんが手をつないで楽しそうに出かけようとしているので、随分楽しそうだねと声をかけたそうであります。すると、奥さんいわく、慶子が今年は初めてかけっこでビリではないかもしれない、とのこと。クラスの女の子で一週間前から足を捻挫している子がいて、慶子ちゃんと一緒に走ることになっているらしいのです。 そして、午後4時頃にこにこして二人が帰ってきたということで、どうだったと聞くとまたビリだったとのことであります。事の顛末はこういうことだったらしいです。100メートル走です。用意ドンで8人が一斉にスタートしました、6人が50メーターから60メーターの位置にいたとき、慶子ちゃんは15メーターくらいのところ、そして捻挫をした子は10メーターくらいのところを走っていたそうです。つまり、慶子ちゃんのほうが少し前を走っていたということです。 そのとき、あっと声を出して捻挫をした子が転んだそうです。すると慶子ちゃんはその声に反応して振り返り大丈夫といって、転んだ子のもとに駆け寄ったそうです。そして、転んだ子の手を引き起き上がらせ、その子の肩を支えながら、二人でゴールに向かって走ったということで、90メートルくらいまで走ったときに、ゴールテープが張り直されたそうです。そして、ゴールの直前で慶子ちゃんは捻挫している子の背中を押して、先にゴールさせてから自分は後からゴールしたということでありまして、会場中がその日一番の割れんばかりの拍手に包まれたということでありました。 そして、この話を聞いた小林正観さんは、大きなショックを受けたと言っておられます。自分がそれまで持っていた価値観は間違いだったのかと、必死で考えたということで、何度も何度も考えた結果、慶子の生き方のほうが正しいという結論に達したということであります。 正観さんは言われます。慶子は知能指数も半分しか神から与えられていない。筋力も3分の1ぐらいしか与えられていなくて、運動能力は人より10分の1か、20分の1くらいです。なのに、いつも慶子が考えていることというのは、自分より力の弱い人に対していかに自分が力を貸してあげるかっていうことだけなんです。他人と争うとか、他人より抜きん出ようとか、他人よりもいいところへ行こうとか、先に走っていこうとかってことが全くない。誰かが教育したんじゃないんです。 そういうものを持って生まれてきたんですね。私、小林正観はその話で物すごくショックを受けた。競うこと、比べること、争うこと、戦うこと、人と比べ合って抜きん出ること、それしか私たちは小、中、高、大学で教わってこなかった。家庭でも社会でもただひたすらその価値観しか教わってこなかったんですよね。それに対して、疑いを持つこともなかったんです。今まで私たちが教わってきた考え方、生き方はどこかが違う、私たちは人と競い合って、抜きん出て、人の上に立って生きていくということしか教え込まれなかったけど、そのために努力をしなさい、頑張りなさい、必死になりなさいって言われてきたんですけど、どうもそうじゃないみたいです。 私たちはいかに自分が手を差し伸べられる人がいるか、いかに自分がその人たちにとって役に立つ存在になるかだけを考えて生きていってもいいんじゃないか。それだけの価値観で生きていっていいんじゃないだろうかと。そして、小林正観さんはこの運動会の事件以来、人生観を完全にひっくり返されたそうであります。慶子ちゃんには1歳年下の妹がいるのですが、その妹とおもちゃを取り合ってけんかするということが1回もなかったそうです。慶子ちゃんが遊んでいるおもちゃを妹が取りにきても、すぐに手を離して別のおもちゃを持ってきて遊んでいたということです。慶子ちゃんは、競わない、比べない、争わないという魂を神様からもらって生まれてきた子だということを、運動会の件で気づいたということであります。 そして、それ以来、正観さんは慶子ちゃんをお手本にして生き方を学ぼうと思ったそうです。人生を幸せに楽しく生きるキーワードとして、「き・く・あの実践」ということを提唱しておられますが、その「き・く・あ」は競わない、比べない、争わないは慶子ちゃんから学んだことで、慶子ちゃんに生き方を学ぼうと思った瞬間から慶子は私にとって神になったと言われています。 私たちが人と比べて争って、頑張って、努力することがいいことだと思ってきたのは、それが幸せになる道であると信じ込んでいるからだと思います。しかし、それは本当でしょうか。絶対的な幸せの定義は存在しないと正観さんは言われます。幸せとは、個々人が決めることであって、どんな状態であろうとこれが幸せと自分が決めれば、それが幸せなんであり、幸せになりたい人は目の前に存在する現象を片ぱっしから幸せと決めればいい、目が見えて幸せ、耳が聞こえて幸せ、息ができて幸せ、物が食べられて幸せというふうにすれば、それが幸せなんだということであります。 そして、幸せの構造論が分かってしまったから、夢も希望もない日々、楽しくてしようがない生活をしていると言われています。夢や希望に満ちた生活というのは、あれが足りない、これが足りない、あれが欲しい、これが欲しいという状態であって、欲しいものが途絶えなければ永遠に幸せになることはないということです。そして、目の前のことを全て幸せと思えたら、何かを求めるということがなくなって、幸せを求める現象がなくなったと言われています。 チルチルミチルですね、幸せの青い鳥、今が既に幸せなんだという、あれだと思います。ということは、幸せがそういうものであれば、人と比べて争って、頑張って努力することは、幸せへの道とは何の関係もなく、必死になって求めれば求めるほど幸せにはなれないということになります。 私は質問のタイトルに、細目として21世紀は協調の時代と書きました。実は、競走をよしとする価値観は本来の日本の価値観ではなく、西洋文明の価値観であります。自由の名の下に争って、戦って、勝ったものは富を奪い、社会を制覇する。そうやって世界を制覇してきたのが、西洋文明であります。日本も明治維新以降、西洋を真似し、追いつけ、追い越せと西洋の価値観を取り入れたわけであります。 しかし、本来の日本の価値観は争わないこと、戦わないこと、協調すること、利己ではなく利他であることであり、西洋文明の価値観とは対極にあるものであります。日本はおかげさまの文化です。自分一人の力で生きているのではない。自分の周りに存在している様々な人や物のおかげで生かされているという考え方であり、だから共に支え合い、助け合って生きていく、共に生きる共生の価値観こそが本来の日本の文化であります。 20世紀は戦争に明け暮れた競争の時代でしたが、金融資本主義もグローバリズムも、もう終えんを迎えていることは皆さん感づいておられると思います。21世紀は協調の時代になるということは、多くの知識人が言われていることであります。本当なら日本の得意中の得意の時代になるのですから喜んでいいはずですが、自己責任という言葉が横行し、殺伐としている今の日本で大丈夫だろうかと、内心思っているところでございます。 さて、小林正観さんの言葉を借りながら、競争の価値観について論じてきました。正観さんは「人は喜ばれる存在になるために生まれてきたんだ」と言われています。「自分中心で自分がどれほどすごいかとか思っているうちは人格者にはなれない。人様から声がかかってはじめて人生だ」ということであります。厳しい言葉です。 小林正観さんは起きているときでも、人間が熟睡しているときに出る脳波であるシータ波が出ていたと言われますから、完全に悟っておられた方であろうと思います。私なんかは足元にも及ばないような存在ですから、言われていることを理解することはできても、そういう生き方ができるかと問われれば、いやいやとてもとてもと言わざるを得ません。しかし、非常に鋭い御指摘であることは間違いないと思っております。 教育に関しては、いつも難しいことを聞いているようで申し訳なく思っているところではありますが、どうしても慶子ちゃんの話を皆さんに聞いてほしくて取り上げさせていただきました。大変重要なことだと感じておりますので、御所見を御答弁いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。 最後に、小林正観さんに感謝申し上げ、私の初回の質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(乗越耕司君) 答弁を求めます。 ◎教育長(津森毅君) 議長、教育長。 ○議長(乗越耕司君) 津森教育長。 ◎教育長(津森毅君) (登 壇) 宮川議員からの御質問に対しまして、御答弁申し上げます。 御質問は、幸せは努力してつかみ取るものではなく、感じるものであり、努力すればするほど幸せから遠のくという、小林正観氏の主張を紹介しながら、競争社会について考え、21世紀のあるべき教育的価値観についての御提案でもございました。 一つ目の逸話にあります、子どもたちによる「慶子ちゃんを送っていく会」の主体的な結成、そして、雨の日には順番に送っていくということでしたが、クラスの子の優しさや助け合う姿のすばらしさを感じるエピソードでございました。 教育の目標は、教育基本法に示されたとおり人格の完成でございます。このエピソードのような子どもたちの関係性や主体性の育成ということは、普遍的に期待される重要なテーマでございます。 こういった優しさや助け合う力を育成するためには、教師が、日頃から子どもたちに、互いに関わることや助け合うことの大切さや、その意味について伝えていかなければなりません。 議員は、優しさについて「目上の人間、立場の強い人間が、自分より立場の弱い人間に自らの力・権力を行使しないこと」と、小林さんの言葉を引用されております。子どもたちの世界は、それぞれの力、態度の強さや技能の優劣が表れやすいものです。だからこそ、日々の生活の中で見られた子どもたちの優しさや思いやりを、機を捉えて具体的に理解させていくことが必要です。 子どもたちの生活の中には、些細なことも含め、御紹介いただいたエピソードと同じような、似たような出来事がいつも起こっています。そのような事実を教師が見逃すことなく取り上げ、指導につなげていくことが求められます。子どもたちの中には小さなグループをつくり、そこに所属し、ほかの子とあまり関わりを持たない子もおります。そういった子どもたちに、友達とつながるよさや助け合うことの必要性について、常々伝えていく必要があると考えております。 また、教師が子どもの喜怒哀楽などの感情を理解し、不安なときは安心させてやり、喜びを感じているときは一緒に喜ぶなど、こうした教師の関わりが、子どもの本当の優しさを引き出すことにつながるとも考えております。 「『優しさ』という言葉の根源的な意味を教えたら、いじめの問題は劇的に解消するのではないか」という小林さんの言葉を紹介していただきました。いじめについては、どの学校でもどの学級でも起こり得るものという認識の下、各学校は教育活動を行っておりますが、このことは、いじめを起こさないことを諦めてしまうという意味ではございません。いじめを生まない学級づくりは可能です。 実際に「この学級では、いじめは起きないし、問題が発生してもすぐに解決する」という学級がどの学校にもあります。それは御紹介されたようなエピソードが教室の日々の生活の中に、様々に起こっているからであるとも言えます。そんな教室の中では、一人一人の子どもたちが等しく大切にされるという実感を持っています。 学校教育では「学級経営」という用語を用いますが、現場の担任を持つ教師は、学習指導や生徒指導と同様のエネルギーを、この学級経営に費やしています。それは朝、子どもが登校してから下校するまでの、子どもと接している全ての場面が対象であり、非認知能力育成のためにも重要な活動でございます。その中で、教師と子どもとの信頼関係が土台となり、子ども同士の協調の風土が醸成されていきます。 先月、実施した初任者教員への研修のテーマは、「教師と子どもたちの信頼関係の構築」でした。多くの新任教師が子どもたちとの信頼関係の構築について悩んでいる実態があったからでございます。「信頼が教育をする」と言われます。教師と子どもたちとの信頼関係は全ての教育活動の基盤です。教師が担当する学級や部活動の中で、人として間違った言動は公平に指摘する毅然とした指導性は保ちながら、御紹介されたような「優しさ」という言葉の意味を指導や学級経営の根本に据えていくことは、非常に大切なことと受け止めております。 続いて、二つ目の逸話にあります、運動会での慶子ちゃんの行動を通して「競わない・比べない・争わない」ことの大切さに気づいたということでございますが、人生を幸せに、そして楽しく生きるキーワードとして「き・く・あの実践」として御紹介いただきました。 今、世の中で生起する課題は複雑化しており、その課題を解決するには、チームで課題を出し合い、正解ではなく「最適解」を見つけ出し、アクションを起こす力が求められるようになっております。そのためにも、他者と力を合わせながら一人では解決できない課題を協働して解決する力が求められており、新しい学習指導要領が「主体的・対話的で深い学び」を重視していることも、そのためでございます。 そうしたことからも、二つ目の徒競走の話は、「優しさ」の持つ意味について、社会全体に対して示唆に富むエピソードであり、未来を生きていく子どもたちにどのような価値観を教育の場で教えていくべきか、という問題提起として受け止めております。 さて、議員は御質問の冒頭で「人と争って努力し、人の上に立つことが幸せの道である」との価値観が正しいのか、と問いかけておられます。世の中の競争というものについて、過度な競争を強いることは不適切ですが、人と人とが切磋琢磨して成長していくことは必要です。その過程の中で挫折を経験したとき支えてくれる周囲の力は大変に尊いものでございます。 戦後を代表する教師であり、授業づくりについて98歳まで全国を回って指導された大村はま先生の、その生涯にわたる言葉をまとめた著書の題名は「優劣のかなたに」でございます。できる、できないという事柄に捉われず、優劣を忘れて学び浸る、それが究極の教育の姿であることを、何十年も教え続けてきた教育の先達が示す含蓄のある言葉です。 よい授業は教師の力だけではできません。教師の準備した教材や内容を子どもたちの発想や考えが上回っていくことがあります。子どもたちの様々な考えの中には間違ったものもありますが、その間違いも大事に生かされ、優劣の差を乗り越えて全体の理解が深まっていきます。こうした学び合う授業を求めて日々学校で実践が進められております。 さて、現在の社会での出来事を見ますと、様々な事案や犯罪が生起する中で、個人の身勝手な当事者の言動が報道されます。コロナ禍の現在、感染拡大防止についての日本人の協力ぶりの徹底が世界中で称賛される一方で、感染した人々への心ない偏見や差別があることが社会問題となり、世の中の風潮が不寛容なものになりつつあるのではないかと懸念しております。 日本人は一致協力することは得意である反面、そこからはみ出すことを許さないという傾向があるのかもしれません。また、「他者のために、社会のために自分に何ができるのか」という考えよりも「自分のために回りが何かをしてくれるのが当たり前」だと考えるような風潮とも関係しているように感じております。 こうした状況の中、近年注目されているSDGs・持続可能な開発目標の考え方は重要です。「地球上のみんなの幸せ」のために世界が合意した17の目標の4番目に「質の高い教育をみんなに」がございます。誰一人取り残すことのない社会を目指すことは、今、世界標準の価値観といえます。 高度に情報化が進むこれからの社会の中で、学校での学びもデジタル化やIT化によって、子どもたちの学び合いの場面は減っていくことが想像されますが、他者を思いやり共に生きていこうとする人間の感性を大切にしていくこと、それは変わることのない教育の価値であると考えております。 「幸せ」の語源は「なし合わせ」であると言われます。相手が喜ぶことを「なし合う」ことによって、人は本当の幸せを感じることができるということです。授業をはじめ学校での生活全般において、子どもたちの間にそうした「なし合わせ」の場面が生まれ、それぞれに優しい気持ちが育っていくことを心から願うものでございます。 ◆21番(宮川誠子君) 議長、21番。 ○議長(乗越耕司君) 21番、宮川誠子議員。 ◆21番(宮川誠子君) 御答弁ありがとうございました。少し感想を述べさせてもらいたいというふうに思います。 大村はま先生ですか、存じ上げなかったんですけれども、御紹介をいただきました。「できる、できないという事柄に捉われず、優劣を忘れて学び浸る」という言葉、すごいなと思って聞かせていただきました。私たちは、何かにつけてできたかできなかったか、テストの点数が何点だったか、何位だったかということだけを気にしてしまうけれども、そういうことじゃないということだと思います。 世の中に無駄なことって何もないんですよね。できないこと、挫折することも大事なんだと思います。挫折から学ぶことって大きいなと思っています。挫折しない人間というのは、ろくでもないものになってしまうんじゃないかなと私は感じていますので、だからそういう意味でできるできないにこだわるんではなくて、その事柄、一つ一つのことから何を学びとるかということが大事なんだということを教えてくださっている言葉だなと思って聞きました。 「優劣のかなたに」という書籍があるそうですが、もし手に入ったら買ってみたいというふうに思います。 それから、幸せの語源も知らなかったんですが、教えていただきました。「なし合わせ」、相手が喜ぶことをなし合うことによって、人は本当の幸せを感じることができるということですよね。確かにそうなんですよ。どんなにお金があっても、地位があっても、名誉があっても、誰か自分が何かしたことを喜んでくれる人がいなかったら、多分幸せにはなれないだろうというふうに思います。 その意味で何かをしてあげることによって、誰かが喜んでくれる存在がいるということがやっぱり一番の幸せだということを教えてくれているんだと思います。大変難しい質問をしたんですが、本当にいい答弁をいただきまして、ありがとうございます。感謝申し上げます。 少し時間が余ったので、ちょっと変な話をします。実は、私一般質問をするのに、何をしようかということを考えたことが一回もないんです。そのときに、テーマはこれだなというのがいつも思い浮かぶということをやってきたんですが、今回は実は、今回何も思い浮かばないなと思って、今回やめようかなと思っていたんです。そしたら、ユーチューブである動画を見ていたら、なぜそうなったのか分かんないんですけど、いきなり動画が切り替わって、小林正観さんの今の慶子ちゃんの運動会の話が始まったんですよ。不思議なんですけど、これを言えってことだなと思って、今回紹介させていただきました。いい機会を与えていただいたと思っておりますので、一般質問ができて幸せと思って、今日の私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。 ○議長(乗越耕司君) これをもって、21番宮川誠子議員の一般質問を終わります。 暫時休憩いたします。                             午前11時23分 休  憩 ───────────────────── * ───────────────────                             午後1時14分 再  開 ○議長(乗越耕司君)  再開いたします。 引き続き、一般質問を行います。 16番重森佳代子議員の一問一答方式による一般質問を許します。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) (登 壇) 清新の会の重森です。今定例会での一般質問において相次いだ危機管理体制の質問に対し、危機管理監の新設を検討するという答弁があり、市民の命と暮らしを守る施策に大いに期待しています。我々清新の会では、8月末、消防局で防災について勉強会を開いたところでもあります。 それでは、最後は、防災についての質問をして、本定例会を締めさせていただきます。 気候変動や社会状況の想像を超える変化に対応するためには、市民の安心安全な暮らしを最優先し、命と暮らしを守ることを大命題として市政運営をすべきと考えます。 平成30年7月豪雨災害の復旧は来年度末までに完了予定です。しかし、復旧だけでは市民の命を守ることはできません。崖地、急斜面の多い本市においては、今までに経験したことのない台風とか、100年に一度の大雨といった言葉が毎年のように繰り返される今日では、常に臨戦態勢で対応しなくてはなりません。あらゆる場面を想定し、特に治水治山においては、積極的に、抜本的に取り組むべきです。県や国の予算措置を待っていたのでは永遠に受け身で、市民の生命、財産を守ることはできないと考えますが御所見を伺います。 次に、災害時に想定外はないと断言できる行政にしていただくことを要望します。 ハザードマップでの一方的な告知では、市民の防災意識を高めることには限界もあり、地域の自主防災組織も温度差があります。高齢化や人口減少は地域防災にとって大きな課題であることは認識のとおりです。また、避難情報を発信しても、残念ながら多くの住民が避難していただけないのが現状です。危険区域には個別の避難計画を策定することで、日ごろから災害リスクを認識し、個々の防災意識を高めることができるのではないかお尋ねします。 さて、コロナ禍によって全国で約500件の倒産、約5万人の雇用が失われたといわれていますが、これは氷山の一角で、実際には廃業や閉店によって約35万人が職を失ったのではないかという恐るべき数字も出ています。持続化給付金や雇用調整金、家賃補填などの施策で何とか乗り切ろうという青息吐息の事業者も多いのではないでしょうか。本市においても、独自の支援事業も行っていますが、今後、異次元の支援策が必要と考えます。事業継続のため、さらに市独自の支援策を検討しているのか伺います。 次に、新美術館についてお尋ねします。 まず、第1に、ミュージアム氷河期といわれるぐらい公立美術館の運営は全国的に厳しいのが現実です。今年度は開館記念特別巡回展、グランマ・モーゼス展が約3,000万円の事業費で、来年度に延期にはなりましたけれども、開催されることになっています。運営費については毎年1億円以上が事業費として計上されることになります。今後、企画展や巡回展、その他の催しの方向性と予算規模をお尋ねします。 次に、本市がこれまで購入した作品は、現代版画を中心に約400点あまり、購入合計額は約2億円です。現代版画については評価がわかれています。本物の絵は高価で買えない、購入しやすくするためにリトグラフという手法が普及したという人もいます。リトグラフは減価償却して、最終的には価値がゼロというものもたくさんあります。私見でうがった見方かもしれませんが、リトグラフは商業目的が大きいのではないかと考えています。印刷技術が極めて向上した今日では、グラビア印刷のように色の濃淡がクリアに表現され、本物と遜色ないような色合いを出す精度の高い印刷技術があります。このような時代背景で現代版画の収集をし続ける根拠をお尋ねします。 今回、3,630万円で購入したジョアン・ミロの作品、最後の版画20点は、最晩年の1年間に集中して製作されたものです。ミロ、88歳の作品で、その2年後、老衰のため90歳でなくなっています。全盛期の迫力は消え、作品は弱々しく、自筆のサインができる限界だったのではないかと疑ってしまいます。ミロの代表作はなく、同じタイトルの作品、同じ筆致の作品です。作品の能書きにはいろいろ御託が並んでいます。同じ原版を使って色彩のバリエーションで表現した作品もあります。選定方法に問題はないかお尋ねします。 購入されたミロの作品は著作権の関係でお見せできませんが、参考までに、私どもが運営している絵画教室にある世界美術全集、ミロシリーズをちょっと持ってきました。ジョアン・ミロの全盛期の作品の1つなんですけども、これはブックカバーですけれども、本市の作品とは全く違っていると、程遠いんではないかと思っております。 次に、開館記念としてジョアン・ミロの作品とは別に、作品購入の事業費約1,000万円を予算化していますが、今年度、さらに収集する予定があるのかお聞きします。 公立美術館は単なるコレクションをする場ではないし、当然、個人の趣味のようなコレクションをする場でもありません。税金を使って、地域に縁もゆかりもない作品収集をすることは市民理解を得られるのでしょうか。今後の作品収集の方針を伺います。 収集の財源について言えば、これまで芸術文化振興基金は使われることはなく、1億円あまりが基金になっています。今日までの2億円あまりの作品購入費は、一般財源が原資と理解しています。今年度、初めて基金からジョアン・ミロの作品が購入されるということです。一方、基金には、今年度、一般財源から1,000万円が繰り入れられます。芸術文化振興基金は寄附を主体とすべき、一般財源から繰り入れるべきではないと考えますが御所見を伺います。 最後に、美術館は文化の1つの拠点ではありますが、市民の教養、教育は、むしろそれぞれの地域で学校教育や生涯学習の中であまねく高めていくべきと考えます。美術館のコレクションが教養、文化度を高めるものではないと思います。市民参加のワークショップなど、市民文化の拠点になる美術館になるための施策をお聞かせください。 これで初回の質問を終わります。 ○議長(乗越耕司君) 答弁を求めます。 ◎市長(高垣廣徳君) 議長、市長。 ○議長(乗越耕司君) 高垣市長。 ◎市長(高垣廣徳君) (登 壇) 重森議員の御質問に対しまして、私からは新美術館についてのうち、芸術文化振興基金及び市民の教養、文化度を高める教育・学習につきまして、御答弁を申し上げます。 美術館は地域の文化や人を育み、個性豊かな文化を創造し発信する文化芸術活動の拠点であり、本物に触れ、感動を味わえる場でございます。新しい生活様式が求められている今日だからこそ、市民の皆様には芸術文化に対し、大いに興味や関心を持っていただき、多くの方々にリアルな美術作品に触れていただきたいという思いも込めまして、現在、11月3日の新美術館の開館に向けて全力で準備を進めているところでございます。 御質問のうち、まず、芸術文化振興基金についてでございます。 本市の芸術文化振興基金は、その成り立ちが市民の方々の御寄附によるものではございますが、財源として不安定な寄附金のみを原資とするのではなく、市として一定程度の一般財源による積み増しを行い、今後の美術作品の購入に備えることが必要であると考えております。そうすることで、安定的に、また、タイムリーに美術作品を収集できるものと考えております。 次に、市民の教養、文化度を高める教育・学習についてでございます。 美術館は世界や日本の名品に出会える場であり、また、鑑賞の体験を深め、感じ取る力や思考する力を一層豊かに育てる場でもあります。 学校教育や生涯学習の場で芸術に関する知識や教養を高めていくことも大切ではありますが、美術館という非日常の空間に身を置き、アーティストたちが心を込めて製作した本物の作品に直に触れ、感動を味わうことで、感性が磨かれ、新たな価値に気づくことができるものと考えております。 また、子どもたちにとりましても、美術館での作品鑑賞を通じて自身の感じ方や考え方をお互いに出し合い、話し合うことで、さまざまなものの見方を養うことができ、このことは、多様性の時代といわれる今日の社会を生き抜く力につながるものであり、将来のイノベーションを生み出す力にもつながるものと考えています。 こうした考えのもと、新美術館では、開館後、市民の方々を対象に版画体験等のワークショップや親子での作品製作体験、学芸員による出前美術館に加え、市内の小学生を招待し、作品鑑賞や美術館マナーなどを学習する講座の開催も計画しているところであります。 市民の方々が暮らしの中で美術を身近に感じ、より一層豊かな感性と創造性を育んでいただけるよう新たな施設や作品をしっかり活用し、市内外から注目される魅力ある美術館を目指して運営してまいります。 他の質問に対しましては、担当説明員より答弁をいたします。 ◎災害復旧担当理事(阪垣多喜豪君) 議長、災害復旧担当理事。 ○議長(乗越耕司君) 阪垣災害復旧担当理事。 ◎災害復旧担当理事(阪垣多喜豪君) (登 壇) 私からは、市民に寄り添った行政についてのうち、治水治山への積極的な取り組みについて御答弁申し上げます。 防災の強化、推進につきましては、これまでの災害の経験や近年の気候変動の状況などを踏まえましても、最重要課題であると認識しており、第五次東広島市総合計画まちづくり大綱の安心づくりとしまして、各種の施策を進めているところでございます。 こうした中、国や県の事業に対する取り組み方針でございますが、本来、国や県が果たすべき役割に係る事務について、市が自主事業として対応することは、実務的にも法的にも困難な状況でございます。 したがいまして、市といたしましては、国や県に対し、財源確保に向けて働きかけを行うとともに、各種事業への積極的なかかわりにより、対応することとしております。 例えば、治水事業におきましては、県と共同で総合的な治水対策協議会を立ち上げ、議論を展開中であり、また、権限移譲を受けて、県の河川のしゅんせつなどを実施しております。 治山事業におきましては、県への事務補助として市の職員が地元調整や地権者の承諾を得るなどの対応をしており、また、今後は森林環境譲与税による重要インフラ施設等への土砂災害及び強風による倒木を未然に防止するための森林整備について検討することとしております。 今後は、権限移譲も含め、国や県との連携をより緊密にし、地元自治体として事業の推進をサポートしてまいりたいと考えております。 ◎総務部長天神山勝浩君) 議長、総務部長。 ○議長(乗越耕司君) 天神山総務部長。 ◎総務部長天神山勝浩君) (登 壇) 私からは、危険区域は個別の避難計画を策定することで個々の防災意識を高めることができないかについて御答弁を申し上げます。 避難計画の策定に当たりまして、本市には3,800か所あまりの土砂災害警戒区域・特別警戒区域に加え、洪水や津波、高潮などの浸水想定区域もありますことから、こうした各地域の特性を反映することが重要であるとともに、安全に避難するためには、より細やかな地域事情を把握していく必要がございます。 具体的に申し上げますと、倒壊が危惧されるブロック塀や増水時に足を取られる水路の有無、交通量の多寡など、市のハザードマップには掲載できない身近なものがあることや、実際の避難行動におきましては、市が発する避難情報以外で、御近所同士など地域での声かけが避難を決めるきっかけとなったという調査結果がございます。 これらのことから、本市では、各地域で身近な危険について関心をお持ちいただき、その危険を地域で共有し、避難行動につなげていただくことを期待して、昨年度からまちづくり推進交付金の地域選択項目に、地域オリジナルの防災マップづくりを支援する防災まちあるき事業を創設いたし、その取り組みを促進しているところでございます。 さらには、広島県ではガイドラインを作成し、家族や地域で避難に備えた行動をあらかじめ決めておくマイ・タイムラインの普及に取り組まれていることから、これらを活用しながら、引き続き出前講座等による啓発を積極的に行うことで、市民お一人お一人の防災意識の向上、そして、実際の避難行動につなげていけるよう取り組んでまいります。 ◎産業部長(鈴木嘉一郎君) 議長、産業部長。 ○議長(乗越耕司君) 鈴木産業部長。 ◎産業部長(鈴木嘉一郎君) (登 壇) 私からは、事業継続のためのさらなる市独自の支援策について御答弁申し上げます。 現在の本市の経済動向は、持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルスの感染拡大の懸念が払拭されておらず、依然として先行きの見通せない状況にあると考えております。 こうした中、これまで、新型コロナウイルス感染拡大の初期より事業者への金融支援、雇用確保の取り組み、相談体制の拡充、ウイズコロナ・アフターコロナを見据えたビジネスモデルの転換や生産性向上など、前向きな取り組みを行う中小企業等に対し、国・県との役割分担のもと関係機関とも連携し、市独自の事業も含めた総合的な事業者支援の対策を実施してまいりました。 さらに、こうした取り組みに加えまして、年末に向けて、直接地域内での経済循環につながるようキャッシュレス決済20%還元事業など、大型の消費喚起の取り組みを推進しているところでございます。 今後も、こうした取り組みの状況や地域経済・雇用情勢を注視し、国・県とも連携しながら、必要に応じて市内事業所の事業継続に向けた対策を検討してまいりたいと考えております。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) (登 壇) 私からは、新美術館についてのうち、まず、企画展や巡回展などの方向性と予算規模につきまして御答弁申し上げます。 企画展は、所蔵作品にはないさまざまな分野の展覧会を開催するもので、新美術館では、八本松町の現美術館において好評でありました絵本原画展や地元作家の個展など自主企画の展覧会を引き続き開催するとともに、全国的な美術作品を展示する巡回展を新たに招致してまいりたいと考えております。 また、所蔵作品によるコレクション展を定期的に開催するほか、近隣の文化施設である東広島芸術文化ホールくららと連携し、美術と音楽が融合した催しを行うなど、文化芸術交流ゾーンの具現化に向けた取り組みも進めてまいります。 こうした展覧会の開催費用の予算規模でございますが、今年度は、指定管理者によるコレクション展の開催費用として約1,400万円を予定しているほか、開館記念の特別企画展の費用として約3,000万円を予算計上しております。 しかしながら、特別企画展につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、当初計画しておりました巡回展が延期されることになり、現在は地元作家の作品を中心とした展覧会を開催する予定で調整を進めております。 令和3年度以降もより多くの方々により多くの美術作品を鑑賞していただけるよう、魅力ある展覧会を開催してまいりたいと考えておりますが、その内容や規模などにつきましては、今後の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会情勢の動向も踏まえた上で検討していく必要があるものと考えております。 次に、ジョアン・ミロの作品の選定についてでございます。 ミロは世界的に著名な作家でありますので、代表作は大変高額であり、一地方自治体が収集することは困難であります。そのため、個性的なコレクションを形成する観点で、ミロの最晩年の版画に注目したところでございます。 このたび本市が購入いたしました最後の版画シリーズは、版画家としての最終到達点を明らかにするとともに、ミロの豊かな創造力を示すものであり、鑑賞者はミロの独特の世界観に引き込まれ、感性をくすぐられるものと考え、東広島市立美術館美術品等収集委員会の審査を経て選定したものでございます。 購入した20点の中には同じようなタイトルと筆致の作品がございますが、これらは同じ版を活用する版画技法の特徴をよくあらわしており、市民が作品を鑑賞する際も、形態と色彩の多彩な広がりと組み合わせを楽しむことができるものと考えております。 また、作品の大半はリトグラフで制作された版画でございますが、リトグラフ版画の特徴は、画家が紙やキャンバスの上に筆で描くように原板に直接絵を描くことができ、通常の絵画と同様に画家たちの創造力がいかんなく発揮されます。多くの優れた画家たちがリトグラフ版画の制作に加わったのはそのためであり、リトグラフ版画はオリジナルの絵画作品として評価されているものと認識いたしております。 次に、今年度の美術作品の収集についてでございます。 当初予算で計上しております作品購入費は、東広島市にゆかりのある作品も含め、国内外の優れた美術作品の購入を予定しているものでございます。 美術作品の購入に当たっては、いつでも予算を執行できるというものではなく、対象の美術作品が市場に出るタイミングを見極める必要がございますので、常に市場の動向を注視し、新美術館として収集するにふさわしい作品が市場に出たタイミングで購入に向けた手続きを行ってまいりたいと考えております。 次に、作品の収集方針についてでございます。 本市美術館は、従前から、美術振興又は美術史上に重要な価値を有する作品や、近代及び現代美術の流れを展望できる国内外の優れた作品で、特に、国内外の近現代の版画、現代陶芸作品、地元ゆかりの作品を主体に収集することを基本としており、現在もその方針に沿って美術作品を収集しているところでございます。 このたびのジョアン・ミロの作品につきましても、これまで国内の現代版画を概観する収集を行ってきた中で、世界の版画の歴史の流れと比較する上で必要な美術作品であると考え、新美術館の開館を機に購入したものでございます。 ミロの版画作品群は、今後、世界の優れた作品を収集する1つの起点として、また、新しい美術館の所蔵作品の核となるものとして、重要な位置を占めるものと考えており、今後も作品収集に当たっては基本方針を踏襲し、これまでのコレクションにさらなる厚みを加えてまいりたいと考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) 今回は行政を預かるものとして、今、市民が何を求めているかということを敏感になっていただきたいということで質問をさせていただきました。市民のセーフティーネットとして、市民の暮らし、命を守るためには、覚悟をもって取り組んでいただくことを重ねてお願いいたします。 菅新総理は、自助・共助・公助を強調されていますが、防災においては、避難する場合、避難計画がないと自助も共助も円滑にできませんし、実際には避難しない人が多いんではないかと思っております。少なくとも自力で避難することができない高齢者や障害者には、個別の支援計画は早急に策定すべきと考えています。個人情報保護やいろんな支える人材不足など、課題があるとは思うんですけれども、本市において、どの程度の計画策定をし、今後、どのように対応していかれるおつもりなのかお聞きします。 ◎総務部長天神山勝浩君) 議長、総務部長。 ○議長(乗越耕司君) 天神山総務部長。 ◎総務部長天神山勝浩君) 高齢者や障害者の個人別の支援計画は早急に策定すべきじゃないかということで御質問をいただきました。 災害時に避難の支援が必要な方ごとに策定いたします個別計画につきましては、75歳以上のお一人世帯の方や障害の程度が基準以上の方のうち、避難行動要支援者名簿への登録を希望される方を対象といたしまして、市と協定を締結いただきます住民自治協議会が要支援者本人と話し合いをしてくださいまして、支援者などを選定していただき、計画を策定することといたしております。 個別計画の策定件数につきましては、本年8月時点でございますけれども、避難行動要支援者名簿に記載のある方が約2,600人、そのうち個別計画の策定済みの方が約1,000人、割合にいたしますと約38%でございます。 個別計画の策定に関しましては、先ほど例にひいていただきましたけれども、支援をする側の支援者の確保でございますとか、個人情報の取り扱いの面で難しいといった声を寄せていただいております。こうした事情も踏まえながら、今後も引き続いて課題の解決に向けて取り組んでまいります。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) 答弁を聞いていると、自治協がやっぱり中心になってやっていただいているということです。自治協にやっていただくとしても、市がやっぱりきっちりとリーダーシップをとっていただきたいと思います。特に高齢化していますので。 支援計画を策定していただいているわけですから、どの程度の予算づけがしてあるのか、ちょっとお伺いします。 ◎健康福祉部長(梶永里美君) 議長、健康福祉部長。 ○議長(乗越耕司君) 梶永健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(梶永里美君) 現在、住民自治協議会や民生委員児童委員などの地域の協力によって避難行動要支援者の個別支援計画のほうを策定していただいておりますけれども、そのための特段の予算措置というのは行っておりません。この制度を推進するための財政的支援につきましては、避難を支援していただける方や計画策定に携わる地域の負担感や義務感が増えることが懸念されるため、慎重に検討する必要がございます。 また、先般、国においては、個別計画の策定に当たって、ケアマネジャーなどとの連携強化を検討するとの報道がありました。本市においても、これらの国の動向を注視するとともに、他の都市の事例なども参考にしながら、より効果的な手法を検討してまいりたいと考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) やっぱり責任ある仕事をお願いしているわけです。予算はついていない、共助でやってくださいということなんだろうとは思うんですけれども、いろんな課題が、支援計画を見させていただきましたけれども、複雑だろうとは思うんですけれども、やっぱり支援計画を実効あるものにするには、1人の方も見捨てない、見逃さないといったような形を作るためにも、何らかの予算措置をお願いしたいと思っております。 それでは、新美術館について再質問させていただきます。 くららと連携して美術と音楽が融合した催しものによって文化芸術交流ゾーンの具現化をするということですが、具体的にはどのようなものでしょうか。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 美術と音楽が融合した催しの企画についてということでございますけども、現在、NHKテレビ、これはEテレになりますけれども、世界の美術を歌とアニメで表現しまして作品の魅力を伝える番組が放映されております。新美術館の来年度の企画展で、この番組の制作資料の原画展を招致する方向で、今現在、調整を進めております。 この番組は、美術や音楽を手がけるアーティストが進行する番組でございまして、そのアーティストの方に本市の名所や特色を織り交ぜた美術作品や曲を作っていただきまして、展覧会の開催に合わせまして、芸術文化ホールくららで音楽コンサートを開催することを検討しております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) NHKと協調してということですけれども、NHK、企画展をいろいろやっていますけれども結構高いんですよね。それは置いておきますので。 指定管理料と、1億円ぐらいが指定管理料で毎年かかってくる、開館記念の特別展は3,000万円がかかると、もう、どんどんエンドレスに美術館運営はかかってくるような気がするんです。今後、コロナ後、毎年、どの程度の予算を目途に計画していかれるんでしょうか。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 今後の毎年度の予算規模についてでございますけども、来年度、令和3年度につきましては、新美術館の管理運営に係る指定管理料として1億500万円を予定しております。この指定管理料の中で、常設展と企画展の経費といたしまして約1,600万円を見込んでおります。 これ以外に、令和3年度に開催する予定の開館記念特別展経費といたしまして、限度額7,000万円の債務負担行為を本年度の当初予算で御承認をいただいているところでございます。 令和4年度、5年度は指定管理料として1億1,500万円を予定しておりまして、このうち常設展、企画展の経費といたしまして約2,300万円を見込んでおります。 先ほども御答弁申し上げましたように、展覧会の開催に当たりましては、今後の新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会情勢の動向も踏まえながら検討していく必要があるものと考えております。ウイズコロナ社会での展覧会のあり方や開催の時期などもしっかり検討しながら計画してまいりたいと考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) 予算の話をしていると、1,000万円、2,000万円、3,000万円なんか、つるっと出るんです。都知事が言っておられましたが、1兆円、2兆円、豆腐じゃないんですよみたいなことを言っておられましたけれども、やっぱりそういう感触は受けるわけです。市民税に換算したら何人分ぐらいだろうか。3,000万円となると100人以上でしょうね。税金を使っているという意識をしっかり持ってやっていただきたいということです。 ミロの最晩年の作品の選定理由として、代表作は高額で収集が困難なためというような答弁がありましたけれども、ということは、作品は劣っているけれども最晩年という特徴があるから購入したということでしょうか。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) ミロの作品の選定についての御質問でございますけども、ミロの作品は確かに描かれた年代で作風はそれぞれ異なっておりますものの、それぞれの作品はミロの芸術や世界観を理解する上で、いずれも重要で特徴のある作品であると考えております。 晩年の作品を含めまして、ミロの作品は全体的に自由な想像力で描かれたものが多く、子どもから大人、高齢者までが鑑賞することで、感性が刺激され、さまざまな発想が生まれる作品でありまして、本市の美術館に新たな風を吹き込む作品であるというふうにも考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。
    ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) いろいろ理由づけをされて高尚な答弁をされたんですけれども、やっぱり高いから買えなかったと、だから最晩年のものを買ったと言われたはずです。 ミロコレクションをしているというと、美術館そのものの、私は自己満足のような感じがするんです。広告的ではあります。ミロという名前で広告的効果があるんだから、広告代と思えば安いかもしれませんけれども、でも、一流の作品かどうかというのは、美術館として私は問われていると思うので、しっかりそこらは頭に入れておいていただきたい。 どうみても、これはミロの世界ではない特異なコレクションのように感じます。20点の作品にはいろんなタイトルがついていて、浮気者であるとか、誘拐とか、魔術とか、いろんな題がついているんですけど、私らみたいな凡人にはなかなか理解できません。20点並べればスケールメリットがあるかもしれませんけれども、同じ版を使ったものもあり、本当に20点購入する必要があったんでしょうか。さっき理由は言われましたけれども、半分でよかったんじゃないかと思いますが。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) ミロの作品20点の購入の必要性ということでございますけども、この20点は1点1点をかき集めた20点ということではなくて、最後の版画という1つのテーマのもとに、1987年になりますけども、当時フランスで展覧会が開催されまして、そこでこのたびの20点が一括して展示されたものでございます。 本市美術館におきましても、当時のミロの芸術観をより効果的に伝えるために、先ほど申し上げましたように、美術品等収集委員会の御意見も伺いながら、20点を一括して購入したものでございます。 開館後は、鑑賞していただく方々の作品に対する理解を深めていただきますよう、展示方法を工夫してまいりたいと考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) フランスの展覧会で一括展示されていたから、本市の美術館でも同じように一括展示するというのは主体性がないと思います。全然主体性がない。フランスと日本では、感性も風土も全く違う独自性についてどう思われますか。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 本市はこれまで、先ほども御答弁申し上げましたように、国内の現代版画を概観する収集を行ってまいりましたが、世界の版画の歴史の流れを理解しまして、その世界と本市の版画を比較する上で、必要な美術作品として、このたびミロの作品を購入したものでございます。 展示に当たりましては、当然に一括して展示することもあろうかと思いますけども、日本の同じ時期の版画作品群と対比させるなどいたしまして、独自の視点で展示、活用を行ってまいりたいというふうに考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) 以前の答弁になりますけども、ミロの作品は館長のコネクション、悪く言ったらツテです。京都の画廊から購入したというのがありました。他の美術品は一切検討していないということだったんですけど、これだったら、ミロまっしぐらにというのは、私には納得できません。立派な展示場にずらっと20点が並んだら、きっと壮観なんだと思いますので、今から楽しみにしておきます。 他の作品を購入する予算ですけれども、記念作品としてはミロを購入するのだから、社会情勢を考えると幾らいい作品があったとしても控えるべきと思いますが、どのようにお考えでしょうか。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 今年度予算措置しております1,000万円の作品購入費でございますけども、予算の執行に当たりましては、社会情勢は当然考慮する必要があると考えております。ただ、一方で、美術作品の購入はタイミングということも重要でございます。機を逃さずしてよい作品を購入することは、魅力的な美術館のコレクションを形成し、広く市民共有の有益な財産ともなるというふうに考えております。 こうした考えのもと、今年度の作品購入費の予算につきましては、計画どおり執行する予定としておりまして、現在、候補作品の選定に向けて検討を進めているところでございます。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) どうしてもさらに作品を購入するということですよね。市民感覚とはかけ離れている。新型コロナウイルスで命がけで頑張っている人の税金を、趣味のようなコレクションに使う市の考え方が私は理解できません。もう一度見解をお願いします。 ◎市長(高垣廣徳君) 議長、市長。 ○議長(乗越耕司君) 高垣市長。 ◎市長(高垣廣徳君) 今年度、予算化している作品購入費1,000万円についてどうするのか、このコロナ禍において、もう少し検討が必要ではないかというような御意見だと思います。 今回のコロナ禍の中で一番大きな影響を受けたのは子育て世代であり、その次には、やはり文化、芸術、あるいはスポーツにかかわる方々が最も大きな影響を受けたのではないかというふうに私自身は思っています。 そういう中で、行動の自粛が3月、4月には求められました。文化、芸術は、ある意味で言うと生活において必需ではない、必ずしも必要ではないという中で、ほとんどの方が足を運ぶこともなかったということであります。 一方で、新型コロナウイルスの第1次の感染が終わったあと、新たな生活様式に入ってくる中で、文化、芸術、スポーツというものが、いかに我々に大きな力を与えてくれたのかというのは、皆さん方も同じような思いをお持ちではないかというふうに思います。 我が市の文化、芸術を育てていくということは大変重要なテーマと私は思っています。これは教育と同じだと思います。そして、文化、芸術を育てていくこと、教育をさらに振興していくことは、短期的な視点ではなかなか難しいものではないか。長期的戦略の中で、このようなものを対応していくという必要があるというふうに思っているところです。 そういう中で、ちょっとお話を引用させていただきますけども、かつて幕末の長岡藩に小林虎三郎という長州の吉田松陰と並ぶ教育者であり、思想家がいました。この話は、小泉元総理が就任の演説のときに引用された米百俵というお話で、皆様ご存じだろうと思います。米百俵の戯曲で有名な方であります。 戊辰戦争のとき、長岡藩は負けました。幕府方で負けました。庶民は大変苦しい生活を強いられて、日々の食事にも困るという状況があったわけです。そんな中、他の藩から米百俵が送られてきた。藩の皆さんは、それが庶民に分配されるというふうに思っていましたが、小林虎三郎は、このお米を分けてもそれほど長く皆さんに食べていただけるものにはならない。むしろ、これを売ってお金にかえ、それを教育に投資することが価値あるというふうに考えたわけです。そして、教育の充実を図るべく、書籍や、あるいは用具の購入にこの費用を充てました。短期的なことよりも、子どもたちを育てていく、あるいは藩民の文化を育てていこうという、そのような思いで長期的な投資に向けた選択をされ、この小林虎三郎の精神というのは多くの方々が感動する、そのようなお話になったわけであります。 冒頭の答弁で私が申し上げました、これからの子どもたちは多様な中で、世界の中で活躍してもらえるような子どもを育てていく必要がある、そのためには、豊かな感性と想像力を培ってもらう必要がある。そのためには、優れた作品に直に触れるような環境を作ってあげることは、まさにこれは教育の一環であるというふうに私は思っています。 そういう意味で、この1,000万円、これからどのような作品に出会うかわかりませんけども、今年度、できるだけそのような作品に出会うならば、購入に向けた資金として引き続きこれは予算として留保していきたいというふうに思っています。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) 私は市長の言われることよく理解できるんです。よくわかっているんです。でも、本市には作品があるんです。何十年もかけて今まで苦労して集めた作品があるんです。それだったら、コレクションをするのは今じゃないような気がするんです。私はやはり世間に鈍感すぎると思います。 ごはんを食べるのに、さっき精神論を言われましたけれども、その精神論はわかるんですけれども、やっぱり、今、事業者がどれだけ困っているかというのを考えたら、食べないのにおしゃれしますかといったら、それはないと思いますけれども。これはここまでにしておきます。 人口93万人の北九州市の市立美術館のコレクションは、学芸員の審美眼が優れているということで、大変すごいということで評価されているわけです。その一例としては、35年前、今、大人気のバスキアの作品を375万円で買ったと。それが今では100億円ぐらいの価値があるといわれている。もちろん投資目的ではないので何とも言えませんけれども、北九州市の選定の基本は、最新美術を購入して所蔵品を増やす。低価格で価値のあるものを発見するということなんです。ここ10年といっても、これは2018年の資料なので、ここ10年は収集のための基金に税金は投入していない。北九州市って100万人都市です。そこは6,000万円か7,000万円ぐらいの基金しかないけれども、税金は投入して積み上げない。10年も積み上げていないんです。 この東広島市は、ミロという有名な作家の作品を何が何でも買ってコレクションしたい、最晩年だったら価格が安いから買うといったら、庶民からいったらバーゲンセールの発想です。今後の収集方針を再度お伺いします。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 今後の収集方針についての御質問でございまけども、先ほども御答弁申し上げましたように、本市美術館は、美術振興、美術史上に重要な価値を有する作品や、近代、現代美術の流れを展望できる国内外の優れた作品を収集することを基本としております。その中で、特に、近現代の版画、現代陶芸作品、それから、地元ゆかりの作品を主体として収集しているところであります。 今後もこの方針に沿いつつ、先ほど議員から御意見のありました最新美術を購入して所蔵品を増やすということも視野に入れながら、本市美術館において所蔵するにふさわしい作品を収集してまいります。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) だんだん時間がなくなっているので、ちょっと質問を割愛させていただくわけですけれども、今の話の続きで言うと、当面は一般財源から基金へは繰り入れないで、現在の基金の活用にて取集すべきだと、もう一度お考えを、変わらないかどうかお聞かせください。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 議長、生涯学習部長。 ○議長(乗越耕司君) 大畠生涯学習部長。 ◎生涯学習部長(大畠隆君) 一般財源による基金への繰り入れについてでございますけども、基金は一般財源を活用して積み増しを行うことで安定的に運用できるメリットがございます。芸術文化振興基金の財源を有効に活用いたしまして、適期に、タイムリーに美術作品の収集を行うことでコレクションが充実し、魅力ある美術館として運営ができるものと考えております。 ◆16番(重森佳代子君) 議長、16番。 ○議長(乗越耕司君) 16番重森佳代子議員。 ◆16番(重森佳代子君) 美術館の基金は安定的であったとしても、やっぱり一般財源は減るわけですから、他事業と美術館事業をよく天秤にかけていただきたい。そうやって予算組をしていただきたい。それは私の願望です。 市民の暮らしがひっ迫している現状では、市民第一の施策に重点を置いてほしい。美術館でいえば、先ほども申しましたが、今ある所蔵品、あるいは積極的な預託などによって運営費を極力抑える努力をしていただきたい。 指定管理制度で美術館の運営の効率を高めながら、一方では、税金を使って新たなコレクションをするのは、一面的な見方かもわかりませんけれども、私は相反しているように思います。公立美術館はアーカイブを大切にして、地域にコミットすることが重要だと思います。 美術館は感動との出会い、よくわかっています。各地にいろんな美術館があります。でも、コレクションだけではないんです。 私、平山美術館へ行って何に感動したかといったら、平山郁夫の少年時代の絵日記、これに感動しました。 隣の県の長門市の香月泰男美術館に行ったら、シベリア抑留の鬱々としたシベリアの厳しい厳寒の地での絵、その後の作風に非常に変化があった。こういったことに非常に心が動かされるわけです。 広重美術館では、広重の版画が感動するのは当然のことなんですけれども、先ほども言っていらっしゃいましたけど、やっぱり体験コーナーがあって版画刷りができたりという来館者参加型のものもされています。 しかし、本市の美術館では、どっちかというと、とにかく収集に主眼を置いておられるのがよくわかりました。今のような情勢の中でコレクションにこだわっておられる、新しいコレクションがさらに来館者を増やしていくという考えです。館長はもとより、学芸員の方は心して収集に当たってください。作品の保管庫はまだ十分、半分ぐらいですから、しっかり眼力を鍛えて収集してください。 日本の経済成長率、マイナス5.8%、こういう予測が出ているんです。もう非常事態です。こういう危機的状態だからこそ、一層、コレクションについては立ち止まって考えるべきだと思いませんか。予算がついているんだから何が何でも買うというのは愚策です。私だったら、美大へ行っている若い人の製作物とか、新進のアーティストのものといったコレクション、それを目ざとく見つけて、それを育てていくのが美術館の使命だと思います。 出会いと感動のある美術館にしていただくことを心からお願いして、一般質問を終わります。 ○議長(乗越耕司君) これをもって、16番重森佳代子議員の一般質問を終わります。 以上で、本日の日程は終了いたしました。 明日19日から23日までは休会とし、24日は本会議を開きます。 本日は、これにて散会いたします。                             午後2時11分 散  会 ───────────────────── * ───────────────────  以上のとおり会議の経過を記載して、その相違ないことを証するため、地方自治法第123条第2項の規定により、ここに署名する。  東広島市議会議長   乗 越 耕 司  東広島市議会議員   谷   晴 美      〃       竹 川 秀 明      〃       池 田 隆 興...